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同人誌見本
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マクスウェルの小悪魔
(2013/12/30)
ガイアスがミラ様に美味しくいただかれる話。
『NevideblaMano-ミラの直接使役時におけるマナの供給方法が、体液を触媒にした粘膜摂取でも可能となっていたらIF』の続き。わりとミラ様が押せ押せな感じになってますが、ちゃんとガイミラです。ひんひん言わせられるのはミラ様です……多分、うん。最終的には。
【A5/16P/¥200】
好意を寄せている相手に見つめられるというのは、常なれば喜ばしいことだ。
がしかし。
今にも獲って食わんばかりに、目を爛々と輝かせ、愛らしい唇が緩んで涎が垂れそうになった――そんな表情で、見つめられるというより狙われているのは、心休まらない。気分は虎視眈々と食い時を待たれる肥えたブウサギのよう。
次の街へ移動する最中。ガイアスはミラの視界から逃れるようにさりげなく体の向きを変えた。それでも背中にぐさぐさ刺さってくる視線を感じる。
マナが遮断された分史の遺跡に閉じ込められて以来、ミラはガイアスを『美味しく』感じるようになってしまったらしい。それからというもの、ミラはガイアスを再び味わおうと機会をうかがっている。比喩でなく。
本当に、ただ、美味しいものを味わいたい、それが目の前にあるならどうして食べないでいられようか、という純粋な食への欲、執着、それに彼女は従っているだけだ。いつものように。
精霊は元来、食べることなど必要ない。ところがミラは人の肉体で生まれながら精霊となった、稀有な存在だ。四大の守護を失った過程で、人間としての生活に慣れ親しんだ。特に、食事という過程に。
おかげで、彼女は精霊の主マクスウェルでありながら大変な食欲魔人と化した。その影響たるや、四大やミュゼにまでおよび、食に興味のなかった彼等まで人の食べ物を欲しがる始末。
「はぁ……」
ガイアスは思わず溜息を漏らしていた。
そう、もとをただせばミラが人間であることに全ては起因する。ミラが体液を媒介にしたマナの粘膜摂取が可能であることは、彼女が人間だったからだ。そのおかげで彼女は以前分子世界のマナが遮断された空間にガイアスと閉じ込められてしまった際、ガイアスから直接使役――ガイアスに抱かれることによって現界を維持した。
ミラが人間だったからこそ、あそこで消えることを免れることができた。けれども、そのおかげで今こんな、ミラに『美味しい食べ物』として認識されるようになったしまったのは、いけない、困る、どうしたらいいかわからない。とりあえず二人きりにならないという、逃げの姿勢でしか対処できていない。
ミラには己の気持ちを打ち明けてしまったものの、彼女の態度は変わらない。ガイアスとて、心から嫌だと思えないことに自己嫌悪していた。たとえそれが彼女の底なしの食欲のせいだとしても、心寄せた相手に触れたいと、心のどこかで思っている。同時に『ただの美味しい食べ物という認識』で彼女に喰われるのは、嫌だ。それなら今のまま逃げ続けるほうがましだと思う心もある。
『あの時は、ああするしかなかった。仕方がなかった』
何度も繰り返し、ガイアスは己に言い聞かせる。まったくもって自分らしくない行動しかとれない。
「ガイアス、大丈夫か?」
ふいに、ルドガーが小声で話しかけてきたことで、ガイアスは思考を現実に戻した。先程の溜息を聞かれてしまったのだろうか。
「なんか最近、元気ないなって思ってるんだけど。さっきも、溜息なんてついてたし」
「あ、いや……」
どうやら溜息はきっかけに過ぎないようだ。なるべく表には出さないようにしていたものの、友にはとっくのお見通しだったらしい。
「ジュードも、ガイアスのことは気付いてないみたいだけど、ミラがガイアスを、その」
美味しそうな食べ物を見る目になっているのは気にしている。そう告げられて、なんでもないと済まされる状況ではないとガイアスは判断した。
「やると約束をしたわけではないが、あいつが美味いと思うものを知っている」
「あー……」
ルドガーは得心がいったというより、友の心痛の種をこちらが変に気にしてしまった気まずい返事を漏らした。ガイアスとしては、嘘は言っていないものの、ルドガーに心配をさせてしまったこと、そして本当のことを告げられないことを申し訳なく思った。
「こちらが無視していれば、そのうち諦めるだろう」
「贈りづらいものなのか?」
「そうだ」
「それは……知られてしまったのは、運の尽きというかなんというか」
「ああ」
ガイアスであるならば、ある程度の珍味くらい手に入れてこられそうだ。それができないということなら、よっぽど貴重なものなのか。ルドガーの言葉は当たらずしも遠からず、ガイアスは溜息交じりに答える。
「その、一応ジュードにはかいつまんで話させてもらっていいか」
「かまわない。むしろ助かる。だが、この件は一切手出し無用にしてもらいたい」
「うん」
ミラの手綱を捌ききれる者などいはしないが、それでもジュードならばミラを多少なりともたしなめられる。
ルドガーはガイアスからは言い出しにくいことらしいと彼の言葉から感じ取って、声をかけたことは間違いではなかったと胸を撫で下ろした。


§   §   §


すっかり油断していた。こちらの落ち度だ。
ガイアスはまさに絶体絶命だった。宿の寝台の背もたれが冷たい。追い詰めているのはミラ。唇までの距離は、もう拳一つ分しかない。
ルドガーづてでジュードに話が伝わり、近頃のミラはめっきり大人しく他の食べ物をいつも通り食べまくっていた。はずだった。しかしそれは演技だったらしい。
今宿にいるのはルドガー、アルヴィン、ガイアス、ミラそしてエル。あいにく三人部屋がとれず、クジでガイアスのみが一人部屋になっていた。
夕食を食べに出ようということで、ルドガーからエルに、同室のエルからミラに、そしてミラはガイアスと話がしたいからと先に行ってもらいたいと伝えたらしい。もちろん、とうの彼女はしれっと
『ガイアス、調べた店が席を確保できたみたいだから、今から行くぞ』
などと部屋の外から声をかけてきた。そこでうっかり扉を開けて――今にいたる。
「俺なんぞより、この街の特産品のきのこを大量に使ったレストランでの食事のほうが、ずっとうまいと思うぞ」
「なに、おまえを味わったら食べに行く」
「俺は前菜か」
「いや、別腹というやつだ。きのこはきのこ。ガイアスはガイアスだ」



「ふぅ…う、んむ、むぅ」
なんともうまそうに雄をしゃぶるミラの姿はひどく扇情的だった。時折腰を揺らし、物欲しげな視線を投げかけてくるので、彼女の躰もまた熱く疼いているようだ。
「体勢を変えるか?」
寝転がって頭の向きを反対にすれば互いに愛撫できる。
「ふぁいじょうぶだ」
言って、ミラはいったん口を離した。
「おまえの手にかかっては、私はまともでいられなくなる」
「……わかった」
その、言葉が、いや、彼女がこの部屋で発する一言一言が、どんなにか男の心を乱れさせているか、彼女はわからないだろう。舌や手よりよほどこちらを追い立てる。
太く脈打っていくのがわかったのか、ミラはことさら動きを激しくした。ガイアスは堪らず逐情する。
勢いよくほとばしる精液を、ミラは夢中で飲み込む。一滴までも逃さないと、吸い上げ舌先が絞り上げるように動く。
だが、ミラはそれだけでは終わらせなかった。
「く、うっ」
萎えたにもかかわらず、指で、舌で、刺激を与え続ける。
「ミ、ラ、」
止めようと伸ばした手を、女は握る。
「すまない、けれど、もうこれを挿れてほしくてしょうがないんだ」
熱に浮かされた、潤んだ瞳と甘い吐息のような懇願。断れるはずがなかった。ぐ、と顎を引き退いたガイアスに、ミラは手を離すとまたそこを刺激しようとする。だが、それは必要なくなっていた。再び硬度を取り戻した雄芯を確認するやいなや、ミラは服をマナに戻して吸収し跨った。
「あっ、あぁ……」
自ら腰を落とし飲み込んでいく。男は咄嗟に女の躰を支えることしかできない。
「無茶をする」
「だ、て…ッ」
すっかり根本まではめて腰を下ろしたミラを引き寄せ、落ち着けとあやすように頭を撫でれば、駄々をこねる子供のように女は頭を振った。
「きのこ料理も、食べたい」
「……」
やけに性急だと思ったが、そういうことだったらしい。


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